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英語タイピングのコツと練習法 — 日本語と英語の WPM を比べられない理由

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タイピング無双 開発者

日本語のローマ字入力が速い人は、英語を打つ土台をもう持っています。ホームポジションと、26 個の英字キーの位置です。ただし、速さの数字は日本語と英語で単純には比べられません。同じ「WPM」でも、打つ文章の中身が違うからです。英語にはスペースと大文字があり、アポストロフィも出てきます。ローマ字入力の問題には、それがほとんど出ません。

この記事では、英語とローマ字で文字の出方がどう違うかを出典つきの数字で示し、英語の平均速度の研究とその限界を書きます。そのあとで、つまずきやすい点と、練習の順序を整理します。

先に、タイピング無双について正直に書きます。私は開発者です。画面の表示を英語にしても、打つお題は日本語(ローマ字で打つ)のままです。英文を打つ練習モードはありません。ゲームが役に立つのは、ローマ字の打鍵が英字キーの運指そのものだという部分だけです。英文の練習は、英文を打てる別の場所で行ってください。

WHAT CARRIES OVER

日本語のローマ字入力が速ければ、英語も速く打てる?

共通するのは、使うキーと指です。JIS 配列でも US 配列でも、英字 26 個の位置は同じです。ローマ字入力で打つキーは英字なので、ホームポジションと各指の担当は、英語を打つときにもそのまま使えます。

日本語のタイピングが上手いと英語も上手くなるかを直接調べた研究は、私は見つけられていません。ここで言えるのは「同じ指の動きを使う」までです。速さがそのまま移るかどうかは分かりません。

違うのは、打つ文章の中身です。次の節から、数字で比べられない理由と、文字の出方の違いを見ます。

WPM

日本語と英語の WPM は、なぜ単純に比べられない?

結論から言うと、日本語のタイピングの WPM と、英語のタイピングの WPM は、同じ数字として並べられません。理由は 3 つあります。

  • 数え方の形は似ていても、中身が違う

    英語のタイピングテストでは、「5 文字を 1 語」と数えて WPM を出すのが慣習です。Dhakal らの 2018 年の研究も、1 語を「5 文字」として、書き写した文字数を時間で割っています。タイピング無双の WPM も、正しく打ったローマ字の打鍵数を 5 で割り、経過した分で割る形で、式は似ています。それでも、打つものが違うので同じ数字として比べられません。

  • 打つ文章が違う

    英語の文章には、単語のあいだのスペース、文頭の大文字、ピリオドがあり、アポストロフィやカンマも出てきます。タイピング無双の問題は、小文字のひらがなの語(3〜12 打鍵)で、語の中にスペースも大文字もありません。同じ 60 WPM でも、打っているものが違います。

  • 日本語の指標には、単位まで違うものがある

    日本語のタイピングの指標には、入力した文字の数で数える「字/分」があります。文部科学省の情報活用能力調査(令和 3 年度)は、285 字の課題文を 3 分で入力させ、「1 分間あたりの文字入力数」で結果を報告しています。これは WPM とは別の物差しです。

WPM の定義と、日本語での目安はWPMの平均と目安にまとめています。この記事では、日本語の WPM を英語に当てはめる換算はしません。

LETTER FREQUENCY

英語とローマ字では、よく打つ文字がどう違う?

英語の文字の出方は、Peter Norvig が Google Books の英語の本(語の出現およそ 7,438 億回)から数えた結果があります。ローマ字は、タイピング無双の出題辞書(16,132 語)のローマ字を、私が数えました。

項目英語(Norvig)ローマ字(ゲームの辞書)
最も多い文字 5 つE 12.49%・T 9.28%・A 8.04%・O 7.64%・I 7.57%U 13.54%・I 11.17%・A 10.47%・O 8.85%・K 8.31%
母音(a・i・u・e・o)の合計約 38.5%約 49.4%
ホーム段(A S D F G H J K L)の合計約 32.5%約 36.5%
多い 2 文字の並びTH 3.56%・HE 3.07%・IN 2.43%ou 3.37%・sh 2.93%・hi 2.80%(TH を含む語は 0 語)
英語は Norvig「English Letter Frequency Counts: Mayzner Revisited」(Google Books の語の集計、全年・大文字小文字を合算。出現が 10 万回未満の語は除外)。母音とホーム段の合計は、表の各文字の割合を私が足した値です。ローマ字は出題辞書 v20260910 の全語のローマ字欄(標準の綴り)の文字を数えた値で、語の出題頻度では重みづけしていません。si と shi のように打ち方で綴りが変わるため、実際に打つキーの割合とは少し違います。

読み取れることは 2 つです。1 つ目に、ローマ字は母音が約半分を占め、英語の約 38%(E・A・I・O・U の合計)より多い。2 つ目に、英語でいちばん多い 2 文字の並び TH は、ローマ字の標準の綴りには出てきません(「てぃ」を thi と打つときなど、打ち方によっては現れます)。ローマ字で速くなった指が、英語で多い並びに慣れているとは限りません。

AVERAGE SPEED

英語の平均速度はどれくらい? — 大規模調査の数字と限界

英語の大規模調査に、Dhakal ら(2018、CHI)があります。約 17 万人(論文の要約では 168,000 人)が英文 15 文を書き写した、約 1 億 3,600 万打鍵の記録です。

指標値
平均速度51.56 WPM(標準偏差 20.2)
遅いほうの 10%約 26 WPM 未満
速いほうの 10%約 78 WPM 超
いちばん速い人たち120 WPM 以上
修正されずに残った誤りの平均1.167%(標準偏差 1.43%)
タイピング講習の経験あり / なし平均 54.35 / 49.00 WPM(差は小さい。効果量 d = 0.27)
Dhakal, Feit, Kristensson, Oulasvirta. Observations on Typing from 136 Million Keystrokes. CHI 2018。WPM は「5 文字を 1 語」として、書き写した文字数を最初から最後の打鍵までの時間で割った値。

限界も大きい調査です。参加者は、民間のオンライン・タイピングテストのサイトで自分から参加した人で、サイトの利用者は主に米国の若い人です。68% が米国、平均年齢は 24.5 歳、72% が講習の経験ありと答えています。論文自身が、自己選択の参加者に偏ると書いています。英文の書き写しの数字なので、日本語の入力速度でも、日本の人の平均でもありません。自分の目標を決める材料としては使わず、「英語の大規模調査ではこの範囲だった」という参考にとどめてください。

STUMBLING POINTS

日本語が速い人が、英語でつまずきやすい点は?

ローマ字入力の問題にはほとんど出てこない打鍵が、英語には出てきます。代表的なものを 4 つ挙げます。

  • 1. 大文字(Shift)

    英語は文頭と固有名詞が大文字です。ローマ字入力では大文字がほとんど要りません。標準的な運指は、打つキーと反対側の手の小指で Shift を押す形です。規格で決まっているわけではありません。

  • 2. 単語ごとのスペース

    英語は単語のあいだにスペースを打ちます。日本語の文章には単語のあいだのスペースがありません。タイピング無双では Space は必殺技のキーなので、語のあいだのスペースの練習にはなりません。

  • 3. アポストロフィ

    don't や it's に出る ' です。位置は配列で違い、JIS は Shift+7、US は ; の右隣のキーです(xkeyboard-config の配列データ)。タイピング無双は、この記号を入力として受け付けません。

  • 4. TH など、ローマ字に出ない並び

    英語でいちばん多い 2 文字の並びは TH(3.56%)です(Norvig)。ローマ字の標準の綴りには出てこないので、the や that のような頻出語で、指が慣れていない動きになります。

ORDER

英語の練習は、何から始める?

次の順序は私の提案で、研究で確かめたものではありません。上から 1 つずつ進めます。

  1. 01.① 英字キーの位置と、各指の担当を固める(ホームポジション)。ここはローマ字と共通
  2. 02.② よく出る短い単語を、見ずに打つ。the は Google Books の語の出現の 7.14% を占める最頻出語(Norvig)
  3. 03.③ 大文字とピリオドのある短い文で、Shift とスペースの流れを作る
  4. 04.④ アポストロフィとカンマの入った、長めの文に進む
  5. 05.⑤ 同じ文を同じ条件で測り、推移を見る

長い文を打つときの考え方は、長文タイピングのコツと練習法を見てください(日本語の記事ですが、先読みと休憩の考え方は共通です)。

IN THE GAME

タイピング無双で、英語の練習はできる?

英語の文章を打つ練習はできません(2026 年 10 月 18 日時点)。画面の表示を English にしても、打つお題は日本語(ローマ字で打つ)のままです。英文のお題を出すモードはありません。

  • できること

    ホームポジション道場(全 150 段)の英字ドリルで、英字キーの位置と指の担当を練習できます。速度演習(60 秒)の結果の一部には、ローマ字の打鍵で数えた WPM が出ます。ただし、その WPM は英語の WPM ではありません。

  • できないこと

    英単語や英文を打つこと。スペース・大文字・アポストロフィ・Shift を使う記号の練習。ゲームが受け付けるキーは a〜z、0〜9、, . - だけです。

  • 画面を English にすると

    変わるのは画面の表示言語です。お題は日本語のままです。

FAQ

よくある質問(FAQ)

  • Q. 日本語のタイピングが速ければ、英語も速く打てますか?

    使うキーと指は共通なので、ホームポジションの土台はそのまま使えます。ただし、速さがそのまま移るかを調べた研究は、私は見つけられていません。大文字、スペース、アポストロフィのように、ローマ字入力に出てこない打鍵が英語にはあります。

  • Q. 英語のタイピングの平均速度はどれくらいですか?

    英語の大規模調査(Dhakal ら 2018)では、平均 51.56 WPM(標準偏差 20.2)で、遅いほうの 10% が約 26 WPM 未満、速いほうの 10% が約 78 WPM 超でした。ただし参加者は自己選択で、68% が米国の人です。一般の人の平均ではありません。

  • Q. 日本語の WPM と英語の WPM は比べられますか?

    単純には比べられません。式の形は似ていても、英語はスペース・大文字・記号を含む文章を打ち、ローマ字入力の問題は小文字のひらがなの語だからです。日本語の指標の中には「字/分」のように単位が違うものもあります。

  • Q. タイピング無双で英語のタイピング練習はできますか?

    できません。画面の表示を English にしても、お題は日本語(ローマ字で打つ)のままで、英文のお題を出すモードはありません。ゲームで練習できるのは、英字キーの運指までです。

  • Q. 大文字の Shift は、どちらの手で押しますか?

    標準的な運指では、打つキーと反対側の手の小指で押します。左手側の文字なら右の Shift、右手側の文字なら左の Shift です。規格で決まっているわけではありません。

  • Q. 英語のタイピングは、何から練習すればいいですか?

    英字キーの位置と指の担当を固めてから、よく出る短い単語、大文字とピリオドのある短い文、長めの文の順に進むことを提案します。この順序は研究で確かめたものではありません。

SOURCES

この記事の出典は?

英語の数字と、記号の位置は、次の資料で確かめました(2026 年 10 月 18 日)。ローマ字の文字の割合は、出題辞書のファイルを私が数えた値です。

  1. Peter Norvig, English Letter Frequency Counts: Mayzner Revisited — Google Books Ngrams(English Version 20120701)の集計。文字・2 文字の並び・the の割合
  2. Dhakal, Feit, Kristensson, Oulasvirta. Observations on Typing from 136 Million Keystrokes. CHI 2018 — 著者の公開ページ(論文本文の PDF あり)。DOI: 10.1145/3173574.3174220
  3. 文部科学省「情報活用能力調査 調査結果」(令和 5 年 3 月) — 令和 3 年度実施。285 字の課題文を 3 分で入力、結果は「1 分間あたりの文字入力数」
  4. xkeyboard-config「symbols/jp」(日本語 109 キー配列) — JIS 配列でアポストロフィが Shift+7 であること
  5. xkeyboard-config「symbols/us」(US 配列) — US 配列でアポストロフィが ; の右隣のキーであること

SUMMARY

まとめ

日本語のローマ字入力と英語は、使う英字キーと指が共通です。でも、速さの数字は単純に比べられません。英語は、スペース・大文字・アポストロフィを含む文章を打ち、文字の出方もローマ字と違います(母音の割合、TH の有無)。

タイピング無双に、英文を打つ練習はありません。ゲームで練習できるのは、英字キーの運指の土台までです。英語の平均速度の数字を目標にするときは、Dhakal らの調査の限界を踏まえて、参考程度にしてください。

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