GUIDE — WHY YOU CAN'T TOUCH-TYPE

ブラインドタッチができない原因と直し方 — 何ヶ月やっても手元を見てしまう人へ

公開
更新
著者
タイピング無双 開発者

ブラインドタッチ (タッチタイピング) ができないとき、まず確かめたいのは、練習した「期間」ではなく「時間」です。キーボード全体を覚えるまでは、研究でグループ平均がおよそ 35〜50 時間でした (郵便局員 72 人の実験)。1 日 10 分を 3 ヶ月続けても、合計は約 15 時間にしかなりません。

時間が足りていても伸びないときは、指の担当が決まっていない、手元を見る癖が残っている、速さを先に追っている、姿勢や環境が合っていない、などが考えられます。この 5 つの分け方は運営者が整理したもので、研究で確かめた分類ではありません。

また、ブラインドタッチができなくても、速く打てる人はいます。覚える必要があるかどうかは、ブラインドタッチは必要?に書きました。この記事は運営者 (タイピング無双の開発者) が書いていて、道場の紹介を含みます。

FIRST CHECK

まず何を疑う? 練習した「時間」を数える

「何ヶ月も練習しているのに」と感じたら、毎日の練習時間に日数をかけて、合計の時間を出してみてください。

毎日の練習続けた日数合計
10 分30 日5 時間
15 分90 日22.5 時間
30 分60 日30 時間
1 時間35 日35 時間
1 時間50 日50 時間
比べる目安は、キーボード全体を覚えるまでのグループ平均の約 35〜50 時間 (Baddeley & Longman 1978)。

合計がこの目安に届いていないなら、できないのではなく、まだ途中かもしれません。注意点もあります。実験の参加者は英国の郵便局員で、指導者がつき、郵便番号のコードを打つ訓練でした。日本語のローマ字入力で調べた数字ではなく、「覚える」も実用の速さのことではありません。個人の幅も大きく、約 26〜54 時間でした。

日数と時間の関係や、最初の 1 週間の進め方は、ブラインドタッチの覚え方にまとめています。

CAUSE 01

原因 1: 練習した時間がまだ足りない

上の表のとおり、合計がグループ平均の 35〜50 時間に届いていなければ、まだ覚える途中の可能性があります。ここは「才能がない」のではなく、足し算の問題です。

同じ時間だけ練習するなら、1 日の練習が短いグループのほうが早く覚えました。1 日 1 時間を 1 回のグループは、1 日 2 時間を 2 回のグループより、少ない時間数で覚えています (平均 約 35 時間と約 50 時間)。このため運営者は、1 回を長くするより、毎日少しずつ続けるほうがよいと考えます。実験が比べたのは 1 日の練習の長さと回数で、毎日続けるかどうかは比べていません。分け方は毎日どれくらい練習すれば速くなる?にあります。

CAUSE 02

原因 2: 指の担当が決まっていない

同じキーをいつも同じ指で打つ人ほど速い、という傾向があります。30 人の動きを測った研究 (Feit ら 2016) が、速さと関係していた 3 つの要素のひとつとして挙げています。関係が見えた、という結果です。

同じ論文では、タッチタイピングを習ったと答えた 13 人のうち、元の方式どおりに打っていたのは 3 人でした。習ったかどうかと、担当がそろっているかどうかは、別の話です。

対処は、担当を決め直すことです。ホーム段 (A S D F と J K L) から、各指の担当を確かめ、打ったらホームへ戻します。担当はホームポジション図解の表にあります。

薬指や小指だけが動かないときは、小指・薬指が動かない原因と練習法へ。10 人で調べた研究では、指を 1 本だけ動かそうとしたとき、いちばん個別に動かしにくいのが薬指でした (Häger-Ross & Schieber 2000)。

CAUSE 03

原因 3: 手元を見る癖が残っている

ブラインドタッチは、手元を見ずにキーを打つことです (辞書の説明)。見る癖が残っていれば、画面を見たまま打てません。研究でも、タッチタイピングを習っていない人は、習った人よりキーボードを見る時間が長い傾向でした (打つ時間の約 40% と約 20%、Feit ら 2016)。

対処は、打つ前と迷ったときに、人差し指で F と J の突起に触れて位置を確かめることです。最初のうちは見てもかまいません。道場の 1 ステージ目で、師範も「今は手元を見ていい」と言います。見る回数を、少しずつ減らします。

どうしても見てしまうなら、手元を紙やタオルで隠す方法もあります。最初から全部のキーで試すのではなく、位置を覚えたキーだけで試します。突起が見つからないキーボードでの探し方は、ホームポジション図解にあります。

CAUSE 04

原因 4: 速さを先に追って、雑になっている

速く打とうとして、ミスが増えていることがあります。約 17 万人のオンライン調査 (Dhakal ら 2018) では、速い人ほどミスが少ない傾向が見られました。ただし、参加者は自己選択で、米国が 68% を占めます。関係が見えたという結果で、ミスを減らせば速くなると証明したものではありません。

対処は、いったん速さを後回しにして、正確さを確かめることです。正確演習は、10 語をノーミスで打ち切る練習で、1 打でもミスをすると終わります。ゆっくりでかまいません。ミスの原因の分け方はタイピングのミスを減らす方法にあります。

CAUSE 05

原因 5: 姿勢・椅子・キーボードが合っていない

姿勢が合っていないと、練習を続けにくくなります。厚生労働省のガイドラインの目安は、画面までおおむね 40cm 以上、上腕と前腕の角度 90 度以上です。手・手首・前腕は、まっすぐ一直線に近い形にします (OSHA)。くわしくはタイピングの姿勢と手首の置き方へ。

小型のノート PC で長時間練習するときは、外付けキーボードが望ましいとされています (厚生労働省)。

痛みやしびれが続くときは、練習を休んで、医療機関に相談してください。この記事は診断をしません。休憩の目安はタイピングで手首・腕が疲れる、痛いときにあります。

DIAGNOSE

自分はどれ? 切り分けチェック

当てはまるものから直します。複数あるときは、上から順に。

  • 合計の練習時間が 35 時間に届いていない → 原因 1

    表で合計を出す。分けて、毎日続ける。

  • 同じキーを日によって違う指で打っている → 原因 2

    担当を決め直し、打ったらホームへ戻す。

  • 打つたびに手元を見てしまう → 原因 3

    突起に触れて位置を確かめる。見る回数を少しずつ減らす。

  • 速く打とうとして、ミスが増える → 原因 4

    速さを後回しにして、ノーミスの練習へ。

  • 手首や肩がつらい、打ちにくい → 原因 5

    椅子の高さ、画面との距離、キーボードを見直す。痛みが続くなら休んで相談する。

SELF-TAUGHT

自己流のクセが固まっていたら、直すべき?

研究は割れています。30 人を実験室で測った研究 (Feit ら 2016) は、習った人と習っていない人の速さに差がなく (平均 約 58 WPM と約 59 WPM)、指 1〜2 本で 70 WPM を超える人もいた、と報告しています。一方、約 17 万人のオンライン調査 (Dhakal ら 2018) は、習った人のほうが平均で約 5 WPM 速く (差は小さい)、指をたくさん使う人ほど速い傾向でした。どちらも一般の人の代表ではありません (前者は速さの幅が広くなるよう選んだ参加者、後者は自己選択のオンライン参加者)。調べ方や参加者の違いで結果が違った可能性があると、Dhakal らは書いています。

ですから、「自己流は必ず頭打ち」とは言えません。直す価値があるのは、画面を見たまま打ちたい人です。今の速さで困っていないなら、無理に直さなくてもかまいません。迷うときは、ブラインドタッチは必要?と、社会人のタイピング、我流は直すべき?を読んでください。

RESTART

組み直すなら、どの順番で?

次の 5 つの順番は、運営者の案です。研究で確かめたものではありません。上から順にやります。突起が見つからないときの探し方は、ホームポジション図解に書きました。

  1. 01.① 姿勢を整える:上腕と前腕の角度を 90 度以上にし、画面までおおむね 40cm 以上あける
  2. 02.② ホームポジションを置く:人差し指を F と J の突起に、親指を Space の手前に添える
  3. 03.③ ホーム段だけ練習する:A S D F G H J K L だけを、担当の指で打つ。道場の第 1 章 (ステージ 1〜10) と同じ範囲
  4. 04.④ 1 列ずつ広げる:母音 (第 2 章)、T・R・W (第 3 章)、N・M (第 4 章) と足す。足すたびに、ホームへ戻れているか確かめる
  5. 05.⑤ 正確さを確かめてから、速さを上げる:正確演習で 10 語をノーミスで打てるようにし、そのあとで速さを追う

遠回りに見えても、手元を見ずに戻れる形から組み直すほうが、迷いにくいと運営者は考えます。

DOJO

道場でどう直す?

ここは道場の紹介です (運営者が書いています)。ホームポジション道場は、無料・ログイン不要で、ホーム段から 1 組ずつキーを増やします。画面のキーボードは指ごとに色分けされ、次に打つキーが光って、担当の指の名前が出ます。パソコン (またはタブレットと物理キーボード) が必要で、スマホでは遊べません。

第 1 章の師範は、薬指 (S と L) を教える前に、「薬指はだれにとっても動かしにくい指だ」と伝えます。

速度演習や対戦の結果画面には、ミスの多かったキー (苦手キー) が出ます。どのキーでつまずくかが分かると、直す場所が決まります。

FAQ

よくある質問

  • Q. ブラインドタッチは何ヶ月でできるようになりますか?

    月数では測れません。研究では、キーボード全体を覚えるまでの練習時間が、グループ平均でおよそ 35〜50 時間でした。毎日 15 分なら 140〜200 日、毎日 1 時間なら 35〜50 日の計算です。1 回の長さが違っても同じ効き方をするかは、調べられていません。くわしくはブラインドタッチの覚え方へ。

  • Q. 自己流のクセが固まりました。直すべきですか?

    目的しだいです。自己流でも 70 WPM を超える人がいる一方で、習った人が平均で少し速いという大規模調査もあります。画面を見たまま打ちたいなら、直す価値があります。今の速さで困っていないなら、無理に直さなくてもかまいません。

  • Q. 薬指や小指がどうしても動きません。向いていないのでしょうか?

    向き不向きの話ではありません。10 人で調べた研究では、指を 1 本だけ動かそうとしたとき、薬指がいちばん個別に動かしにくい指でした。段階的に慣らす練習は小指・薬指が動かない原因と練習法にあります。

  • Q. 大人になってからでも、直せますか?

    年齢別に、学び直しの効果を調べた研究は確認できませんでした。熟練したタイピストでは、高齢でも速さが落ちにくいという研究 (19〜72 歳、Salthouse 1984) がありますが、新しく学ぶ大人の話ではありません。社会人のタイピング、我流は直すべき?にまとめています。

  • Q. 練習しても伸びている気がしません。どうすればいいですか?

    まず、練習した合計の時間を数えます。そのうえで、速度演習の自己ベストや、結果画面の苦手キーなど、同じものさしで比べられる記録を残します。伸び悩みの原因はタイピングが上達しない・早くならない原因でも扱っています。

SUMMARY

まとめ — 月数ではなく時間を数える

ブラインドタッチができないとき、まず確かめるのは練習した合計の時間です。キーボード全体を覚えるまでは、研究でグループ平均がおよそ 35〜50 時間でした。そのうえで、指の担当、手元を見る癖、速さを先に追っていないか、姿勢の 4 つを確かめます。

自己流でも速い人はいるので、直すかどうかは目的しだいです。直すなら、ホーム段から 1 列ずつ組み直します。まず今日の 1 回分、F と J から。

SOURCES

この記事の出典

この記事の数字と文言は、次の資料で確かめました(確認日:2026年10月18日)。論文は英語、ガイドラインは日本語の資料です。

  1. Baddeley AD, Longman DJA. (1978) The influence of length and frequency of training session on the rate of learning to type. Ergonomics 21(8), 627–635. — 郵便局員 72 人。キーボード全体を覚えるまでの時間は Table 1
  2. Feit AM, Weir D, Oulasvirta A. (2016) How We Type: Movement Strategies and Performance in Everyday Typing. CHI ’16. — 30 人。速さ・視線・割り当ては Results、速さと関係する 3 つの要素は Discussion
  3. Dhakal V, Feit AM, Kristensson PO, Oulasvirta A. (2018) Observations on Typing from 136 Million Keystrokes. CHI ’18. — 168,960 人。速さと講習経験は Table 3、ミスとの関係は “Typing speed versus errors”
  4. Häger-Ross C, Schieber MH. Quantifying the independence of human finger movements: comparisons of digits, hands, and movement frequencies. Journal of Neuroscience 20(22): 8542–8550, 2000.
  5. Salthouse TA. Effects of age and skill in typing. Journal of Experimental Psychology: General 113(3): 345–371, 1984. — 抄録で確認
  6. コトバンク「ブラインドタッチ」(精選版 日本国語大辞典)
  7. 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(令和元年7月12日付け基発0712第3号、令和3年12月1日付け基発1201第7号で一部改正)本文と解説 — ノート型は本文 p.6
  8. 米国労働安全衛生局(OSHA)Computer Workstations eTool「Working Positions」 — 手・手首・前腕の位置
  9. ホームポジション道場の段とセリフ、結果画面の苦手キーは、タイピング無双の画面とプログラム(2026年10月18日時点)

関連ページ